岩手・木質バイオマス研究会は、木質バイオマス利用の普及を通じて、岩手の風土、地域性に根差した循環型社会の形成に資することを目的に活動しています。

設立:2000年7月5日

 【事務所】

住所:〒020-0861 盛岡市仙北1-14-20

Tel:080-8887-9096   ご注意ください!電話とファクスの番号が変わりました。

Fax:019-903-0153    登録されている場合はお手数ながら変更をお願いします。

(↑差出人名が事務局長職場の「細田電機管理所」になります。)  

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    ※事務所は不在がちですので、ご用件はなるべくメールでお願いいたします。

 

【会員の皆様へのお知らせ】2020年度総会について

会員の皆様へ

 

平素は当研究会の運営にご支援・ご協力賜り厚く御礼申し上げます。。

さて、2020年度の総会について運営委員会において協議してまいりました。

その結果、新型コロナウィルスの感染防止のため書面による実施とすることに決定いたしました。

ご報告が遅れましたことお詫び申し上げますとともに、今回の判断についてご理解いただけますようよろしくお願いいたします。

 

今年は研究会設立20周年にあたっており、ささやかながら何かお祝いの企画でもと検討を始めていたところでしたが、また別の機会にご提案させていただきたいと思います。

 

書面での総会は初めてのことで不慣れなため、ご面倒をおかけするかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

岩手・木質バイオマス研究会 代表 伊藤 幸男

◆2020年 代表新年の挨拶

この記事は林業新報に掲載されたものです。転載をご許可くださった林業新報社に御礼申し上げます。

20年を回顧して

岩手・木質バイオマス研究会  代表 伊藤幸男

  

 新年あけましておめでとうございます。旧年中は、当研究会の活動にご支援ご助力を賜りましたこと厚くお礼申し上げます。また、昨年の台風19号で被災された皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

 

 さて、私は、2017年7月に10年間務めた代表を退き、肩の荷を下ろしたつもりでおりましたが、この度、再び代表職を拝命することとなりました。

人生、何が起こるかわかりません。予測不可能といえば、2000年に発足した当研究会は、今年20周年を迎えます。

実は、設立当初は5年で事業目標を達成し解散するということも念頭に置いていた、と聞いておりましたので、まさか20年も存続するとは当時は想像もしておりませんでした。

周知の通り、木質バイオマスの普及には長い年月と多大な労力を必要とし、当研究会も、活動の大部分を普及啓発に注力してまいりました。

20年経った現在でも、黎明期の頃ほどではないにしても、普及啓発において当研究会はなお果たすべき役割があるだろうと考えております。

 

 思い返しますと、設立当初の問題意識は、今日多くの人々が関心を寄せている気候変動への対応というよりは、林業振興にいかに貢献するかということだったと思います。

今考えれば、林業が振興した結果木質バイオマスが利用可能になるのであって、木質バイオマス利用によって林業が振興するということはないわけですが、当時は藁にもすがる思いで木質バイオマス利用を促進したいと考えていました。

というのも、90年代以降の円高が定着した段階において、外材が製品で大量に輸入され、日本林業全体が厳しい状況に追い込まれていたからです。

人工林資源は収穫段階の前夜であり、なお間伐がメインの状況。川下の木材加工業も、今日のような大型工場がひとつ、ふたつと設立され始めていましたが、素材生産部門の機械化はなお進んでおらず生産性が低い段階でした。

補助金を得ておこなわれる間伐は、搬出すると経費割れするため、40年生といえども伐り捨てになることも珍しくなく、あるいは主伐であっても製材用材のみが出荷されパルプ用材は山に捨て置かれたまま、といった光景もありふれたものだったのです。

林業のこの状況を何とか変えたい、山に捨て置かれた木材を少しでも利用に結びつけたい、こうした思いが当時の研究会にはあったと記憶しています。

 

 その後20年を経て、岩手県あるいは東北の林業はどのようになったでしょうか。

あの苦しかった状況からは想像できないほど素材生産は活発になり、大型の工場が東北のあちこちで稼働しています。

林業事業体も高性能林業機械を何台も所有し年間数万m3を生産する業者も登場するようになりました。

また、当時、木質バイオマス発電は成立しないと考えられていました。

燃料の安定供給が難しいという理由です。

FITの施行により状況が一変したとはいえ、複数の発電所が当たり前のように稼働している状況は、やはり想像することができなかったことのひとつでしょう。

 

 全てが停滞し、山に素材を捨て置くことしか出来なかった当時の状況に比べれば、今日の活発な林業の姿はよほどましな状況だろうと思うのですが、一方で、これが私たちの望んだ姿だったのだろうかと、最近考えることが多くなりました。

 

 そのひとつは、山林経営の窮状がいっこうに改善していないことです。

具体的には、カラマツは別としても、立木価格が2000年当時よりも下落していることです。

素材供給が追いつかないほどに国産材需要が増加しているのに、立木価格は上がる気配がありません。

低い立木価格を前提に木材生産が活発化しているのであれば、人工林の「採取」に過ぎないのではないかと心配になります。

 

 二つ目は、林業における「地域」あるいは「山村」の概念がずいぶんと薄まってしまったように見えることです。

かつては、林業振興とはすなわち地域振興であって、林業と地域は切り離すことが出来ないものでした。

しかし現在は、生産された素材は100km先の工場に送られるため、「地域」は素材の供給地帯でしかなくなったのではないか、と思われるのです。

「地域」にとって森林・林業とは何か、を改めて問い直さなくてはいけない事態が生じているように思います。

 

 三つ目は、現在収穫期を迎えた人工林の次の世代の森林をどのようなものにするのかがよくわからないということです。

少々乱暴ですが、戦後林政は、膨大な拡大造林とその後の森林整備に終始してきたともいえます。

そのため、木材生産を目的とした人工林経営以外の森林管理の姿をあまり考えてこなかったのではないかと思います。

具体的には、森林認証の普及がヨーロッパに比べ著しく遅れていることに象徴されるように、生物多様性を含む持続可能性の概念が、日本の森林管理になかなか浸透していきません。

第一世代の人工林が一巡する今が、次の森林を構想するよい機会だと思われるのですが、依然として木材生産を成立させることで森林管理を実現しようとしているようにも見え、持続性を軸とした森林管理への道筋が見えてこないのです。

 

 なぜこのような話しを長々と書いたかというと、木質バイオマスは地域概念が非常に強いエネルギーだからです。

地域の持続性を実現するために利用される再生可能エネルギーであり、地域の森林資源と林業を背景として生産されるエネルギーだからです。

林業の産業化は必要なことではあるのですが、それが地域社会の持続可能性に貢献するものとして形成され成長していくことが求められるのだろうと思います。

そしてそれが、木質バイオマスエネルギーが定着していく条件になると思うのです。

 

 10年後の2030年はパリ協定の中期目標年です。

さらに、SDGsの目標年でもあります。10年後の姿は全く想像がつきませんが、少しでも持続可能な社会の実現に貢献できるよう、当研究会も活動を続けていきたいと思っております。

引き続きご支援ご助力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

◆林野庁発表「平成30年木質バイオマスエネルギー利用動向調査」結果

令和元年12月25日に発表された木質バイオマスエネルギー利用動向調査結果は↓のサイトからご覧ください。

https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/riyou/191225.html

◆声明「固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電に、ライフサイクル全体 での温室効果ガス(GHG)排出評価の導入を!」

 

2019年10月7日に気候変動政策、環境経済学、環境社会学、森林科学などの専門家、気候変動・バイオマス、森林保全などの市民団体など276人10団体が連名で、固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電の認定に温室効果ガス削減評価を求める声明を発表し、経済産業省、環境省などに提出しました。

  

呼びかけ団体)バイオマス産業社会ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、気候ネットワーク、地球・人間環境フォーラム、プランテーション・ウォッチ、熱帯林行動ネットワーク、九州バイオマスフォーラム、ウータン・森と生活を考える会 

 

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)により、電力利用者の賦課金で促進されているバイオマス発電ですが、認定量の9割は輸入燃料に依存し、本来のFIT法の目的(環境負荷低減、地域活性化)に沿わないことが懸念されています。パーム油など原料の生産段階で、森林減少や生物多様性の破壊が懸念される計画も多く存在します。

今年4月、経産省は「バイオマス持続可能性ワーキンググループ」を立ち上げました。その資料によれば、森林伐採などの土地利用転換を考慮に入れなくても、多くの輸入バイオマス燃料において、ライフサイクルでの温室効果ガス(GHG)排出量は、化石燃料(天然ガス)と同等もしくはそれ以上となっています。森林や泥炭地の開発を伴う場合、GHG排出量はさらに膨大なものとなります。このままでは、FIT法の目的にそぐわない大量のバイオマス発電が稼働し、パーム油発電だけでも最大4兆円の利用者負担(注)が発生する可能性があります。

注)パーム油発電認定量(180万kW)に年間稼働時間(330日×24時間)を乗じ、さらにパーム油発電の買い取り価格(24円/kWh)から回避可能費用(10円/kWh)を引いた13円/kWhを乗じた金額。

 

※詳しい内容はFoE  Japanのウェブサイトをご参照ください。

 

◆「バイオマス発電に関する共同提言」が環境8団体から発表されました。

気候変動や森林保全に取り組む環境団体は、2019年7月16日、バイオマス発電に関する共同提言を発表しました。内容は次の8項目です。

・温室効果ガス(GHG)の排出を十分かつ確実に削減していること

・森林減少・生物多様性の減少を伴わないこと

・パーム油などの植物油を用いないこと

・人権侵害を伴っていないこと

・食料との競合が回避できていること

・汚染物質の拡散を伴わないこと

・環境影響評価が実施され、地域住民への十分な説明の上での合意を取得していること

・透明性とトレーサビリティが確保されていること

 

バイオマス発電に関する共同提言全文

◆いわて木質バイオマスエネルギー利用展開指針(第2期)が策定されました。

岩手県より、木質バイオマスエネルギー利用の積極的な促進に向けて、これまでの取組期間における成果や課題を整理するとともに、社会情勢の変化を踏まえながら、「いわて県民計画(2019~2018)」に掲げる推進方策等に対応した展開方向を示すものとして標記指針が策定された旨通知がありました。

「いわて木質バイオマスエネルギー利用展開指針(第2期)」

 内容は上記のページからPDFファイルをダウンロードしてご覧になることができます。

◆ 燃料用木質チップの生産・流通に関する提言

1. 目的

 この提言は、熱利用を中心とした木質バイオマスエネルギーの主軸となるチップボイラーをさらに普及させるために、水分率等の品質に応じた燃料チップの生産及びその円滑な流通を促すことを目的としています。

 

2. 背景及び課題※

①岩手県はいち早くチップボイラーの導入が進みましたが、東日本大震災後導入が加速し、現在49台に至っています。

②その結果、熱利用に供される燃料チップは2010年の1,592BDtから2015年の8,526BDtへと5.4倍へと急増しました。

③チップボイラーの民間施設への導入が増加したり、チップ供給事業者も森林組合以外が増加するなど、その担い手が多様化しました。

④その結果、ボイラーと燃料チップのミスマッチが起き、導入施設でトラブルが起きたり、チップ供給者の負担が増したりするなどの事例が確認されました。

⑤燃料としてのチップは、水分率が低いこと、すなわち発熱量が大きいほど高い価格で取引されるべきですが、ほとんどの事例で発熱量の大小を評価し価格に反映させることなく、任意の価格で取引されていました。また、価格の基準となる根拠を理解している事業者はほとんどいませんでした。

※遠藤元治氏(本会会員)の研究成果より。

 

3. 提言

【提言1】

燃料チップの品質(=水分率=発熱量)を価格に反映させた取り引きを促すよう、需給双方への情報提供と合意形成を支援する。

 水分率の低い(M45以下の)燃料チップを供給するためには、何らかの乾燥工程が必要となりコストが掛かり増しになることから、発熱量をベースとした、需給双方が納得できる取り引きに転換していくことが求められます。また同時に、水分率を管理できる燃料チップの供給業者を育成していくことが求められます。

 

【提言2】

発熱量をベースとした取り引きのためには、精度の高い簡易な水分計が不可欠であるため、そのような水分計の導入を促進する。

 これまでも、簡易な方法で水分率を推計してきましたが、樹種が異なったり混じったりすると対応しにくいという問題がありました。水分率を把握することで、価格形成だけでなく、需給双方で水分率の季節変動へ対応できるようになるなど、様々な利点が生まれます。また、地域でどのような品質の燃料チップが供給可能か把握することは、チップボイラーを導入する際の重要な前提条件となるため、チップの水分率の把握は最も重要な事項です。

 

【提言3】

 チップボイラーを導入する際は、その構想・設計段階から、燃料チップ供給を担う候補者と十分な意見交換をおこなう機会を持つよう促す。

 地域で燃料チップを供給できる者は実際には多くなく、どのような品質のチップをどれぐらい供給できるかは、チップボイラーを導入する前にある程度把握することが可能です。しかしながら、チップボイラーの導入が決まったあとで供給業者の選定が行われることが多く、望まれる品質の燃料チップが確保できない、あるいは供給業者に負担を強いるということが起きています。この点からも、【提言1】及び【提言2】に基づき、事前の調整が重要となります。

 

【提言4】

 チップボイラーの運用、燃料供給に関わる事業者の横断的な情報交換の場を設ける。

 燃料チップは地産地消的に地域内で供給されることがほとんどで、一対一の関係で取り引きされることがほとんどです。そのため、岩手県でこれほどの導入事例があっても、どのような問題が起きているのか、どのような工夫がこらされているかなど、情報を共有する機会がありません。これまでの経験が生かされるよう、事業者の横断的な情報交換を行ったり、勉強会を行う場が必要です。

2017年9月

 

この提言について会員からは次のような意見が寄せられています。

○気仙沼の「気仙沼地域エネルギー」が行っているバイオマス発電でも チップの水分含有率の想定違いによる問題が過去に生じた。

プラントはドイツ製で、あちらではチップ材はカラマツ系で、こちらのスギ系で運転したところ自然乾燥が困難となる冬場に燃料不足となった。乾燥設備の追加を行い現状は良好となっている。

やはり、今後検討される方には最初から必要な情報だと思う。

 

○かつてスギの材を乾燥するのに苦労した経験がある。今年はチップを乾燥して社会に提供する元年になる。このことを岩手から日本中に発信することが大切だと感じた。乾燥したチップを作るためのインセンティブとして何ができるかの戦略を考えることが必要だ。

 

○天然乾燥のためにヤードごとにそれぞれノウハウを持っている。それらの蓄積は岩手の財産だと思う。燃料用チップは相対取引であるが、お互いにバイオマスエネルギーの可能性に関心を持ちサスティナブルな価値を見出している所が、石油のような価格だけで取引しているのと違う良さだと思う。

 

○乾燥チップについてデータがあれば付加価値が付く。あまり細か過ぎてはいけない。石油との比較で相手に納得感があれば評価される。

 

○乾燥チップが供給できるようになると、小型で安いボイラーが導入しやすくなり、普及の幅が広がる。

 

○水分管理をきちんとしたチップが供給できれば納入先が多角化し供給を増やすことができる。製紙用チップが今後伸びることは考えにくく、チップ業者が年間を通じたなりわいをつくっていく必要がある。

◆2011年に行った政策提言(要旨)

◆◆◆基本方針◆◆◆
  ・再生可能エネルギーに対する自治体の明確な姿勢が必要。
  ・地域が自立化していくことを重視し、地域住民の主体的な選択と地域資本の育成を促すことが重要。
  ・小規模分散型の熱利用をまず重視する。その経験の積み重ねの先に大規模な発電がある。
  ・地域ごとの特徴に配慮した、技術水準と資本規模を慎重に見極める必要がある。

  地域住民が管理・運用できる、安定したローテクが重要。
  ・木質バイオマスの根幹である、林業が活性化し安定していくことが重要。

  他との競争ではなく、新たな価値を創造し自ら価値実現できる範囲を少しずつ広げていくこと。


◆◆◆主な提言◆◆◆
 ・ 実践過程において、企業同士や消費者、地域住民の情報交換の場をつくる。
  ・補助金に依存しない、緩やかな規制や優遇措置等の施策を導入。
 ・ 木質バイオマス利用が森林経営の持続性に寄与するための制度を確立する。
 ・ 復興に際しては、再生可能エネルギーへのモデル地域をつくる。
  ・木質バイオマス利用は半径30キロ程度を目安とした範囲内で生産と利用の仕組みを構築する。
  ・エネルギー効率の高い住宅建築の推進と小規模分散型の熱供給システムの推進。
  ・地域資本を育成する観点から、民間ファンド、地元金融機関の協力関係を促したり、自然エネルギーへの投資を円滑にするための枠組みの構築が必要。
  ・木質バイオマスを中心とした熱利用、熱政策を重点的に進める。発電は当面、風力や太陽光で。
  ・ペレットの県内自給率を上げるための対策が必要。

詳しい内容は「資料」の中の「政策提言」のページからダウンロードしてご覧ください。

 

なお、自然エネルギー財団は2016年11月25日に下記の提言を発表しています。

「 木質系バイオマス発電に関するFIT制度見直しの提言  

  ~持続可能なバイオエネルギー利用実現のために必要な軌道修正を~」

こちらもご参照ください。(↑クリックするとリンクしたページが開きます。)